唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
王子様再来

☆琉乃side☆



 「琉乃(るの)、ついたよ」


 (さえ)ちゃんが止めたバイクから、滑るように降りる。


 「えっと、このお城みたいな建物は……」


 地面を踏みしめキョトン。

 色とりどりの花が揺れるガーデンの先、大きな建物に視線はくぎ付け。



 本物のお城と比べ小さめではあるものの、豪華と叫びたくなる高級感あり。

 白いレンガの壁に映える、夜空のような紺色の屋根。

 ドレスを着ないと、槍を持ったお城の番人に追い出されちゃいそう。



 「琉乃、ぼーっと突っ立ってないで中入るよ」


 「えっ? この中に私が? 不法侵入になっちゃうんじゃ……」


 「プハっ、やめてよ可愛いこと言うの、噴出しちゃったじゃん。まあ初めて来た子はみんなビビるか。ギャップすごいもんね」


 冴ちゃんはご満悦。


 「これ、うちら暴走族チームのたまり場」


 ニヒヒと笑いながら建物を指でさしている。


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