唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「外国の王子様がくつろぐプライベートハウスに見えるけど……」
「アハハもう琉乃ったら、目ん玉広げすぎ。感想素直すぎ。王子一人がくつろぐにしては、広すぎでしょうが」
「暴走族のみなさんって、廃墟みたいなところが好きなのかなって……」
「集まれればどんなとこでもいいよ。暑すぎて寒すぎて臭すぎるところは勘弁だけど。まー、こんな大きな建物でも30人も40人も集まればワチャワチャだからね。図体デカいやからも多くてさ、意見のすれ違いからしょっちゅう取っ組み合いのケンカを始めちゃうの」
「このお城の中で?」
「壁に拳を突き刺したら出禁! 窓ガラス割ったらチーム追放!って声張り上げて、私が何度ケンカを止めに入ったことか」
「暴走族の姫も楽じゃないんだからね」とため息を吐き出した冴ちゃんの嘆きを見て、いてもたってもいられなかったんだろう。
ふわっと強面を緩めたのは総長の鷹哉くんで
「オマエが姫じゃなかったら、このチームは崩壊してる」
ねぎらいを込め、冴ちゃんの頭を豪快に撫でている。
冴ちゃんも素直に嬉しそう。