唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 冴ちゃんのお遊びに付き合ったら、後で喜んでくれるよね、フフフ。

 なんて期待をして、ルンと跳ねるように振り返る。


 「うわぁぁぁ、すごい」


 声が漏れた。

 室内の装飾までお城そのもので感動したから。



 まるで童話の世界だ。

 邪魔なものが一切ない開放感のあるフロア。


 貴族たちが集まってダンスパーティーをしそうな、きらびやかな大ホール。

 天井のシャンデリアは豪華で、吹き抜けだから天井が高い。


 この部屋一存在感があるのは、Jの字カーブを描く階段。

 王子様が優雅に階段を下りてきたら、胸キュンで倒れちゃうかも……なんて……って。



 、、、ん?



 私は目をパチパチ。

 まぶたをゴシゴシ。



 いっ、いる。

 実際に存在していらっしゃる。

 真っ白なタキシード姿の王子様が。



 玄関ドアの前で固まる私に微笑みながら、長い脚で階段を下っていて


 「待っていたよ、マイプリンセス」


 声まで艶っぽい王子様で……

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