唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
 
 目の前で長い脚が止まる。

 私の首元にすっと伸びてきた綺麗な手。

 指紋を刷り込むように首筋をなぞられ、ゾクリと上体がはねた。



 「気に入らなかった? 俺がプレゼントしたレースのチョーカー」



 なぜここに、タキシード姿の唯都様がいるの?



 「この一週間、一日が長く感じたよ。今日も君からの連絡がこなかったと、毎晩ベッドで枕を抱きしめていた。今ここで琉乃ちゃんに抱きしめてもらえたら、悲しみが剥がれ落ちて心が軽くなるんだけどな」



 さみしさを溶かしたような瞳。

 せつなさ交じりのため息。

 憂い顔がじっと私だけを見つめてくる。

 推しにこんな顔をさせてしまっている罪悪感で、のどがギューッと締め付けられてしまい。

 唯都様には24時間、幸福でいてもらいたいのにな。



 ……って。
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