今夜キミの温もりと。
深くかぶってたはずなのに、バレないと思ったのに…、何でこの人にはいつもバレちゃうのだろう…。


「答えろよ!無視すんなよ‼︎」


前は、もっと背が小さくて弱そうだったのに、こんなに大きくなったんだね。

ごめんね、私、今君に言葉を返せない。

どういう顔して、話せばいいのかわからないの。

私は、ずっと俯いたまま翔の話を無視してた。


彼とは、同じ学校だから家も近い。

だから、会う確率も高いのに、私はなんで油断してたんだろ…。

あ…、翔がいるってことは…。




「慎も、元、気…?」



市川慎。

翔の双子の兄。

優しくて、私と仲良くしてくれて、すごく大好きな存在だった。


「……。元気、だよ」


「そっか…、よかった」


元気なんだ。

よかった。




なんだか、会いたくなっちゃうな…。




はは…、今さら何って、感じだろうけど…。


今、会ったら冷たくされるかな。拒絶されるかな。無視されるかな。



……会いたい…。



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