今夜キミの温もりと。
私はずっと隠れていたから、翔がどうなったかはわからなかったけど、とにかく不安だった。


夕日が出てきて、周りが暗くなってきた時だった。


『ゆり!ゆーりー!』


翔の声が聞こえた。この時、初めて、翔が私を呼び捨てで呼んだ。


『ゆりっ!いた!ゆり、かえろう』


私は、合わせる顔がなくてずっとうつむいていた。


『ゆり、ないた?』


いきなりそんなことを言い出した翔。


『ううんっ、ないてないよ!』

大嘘だ。

でも、泣いたって言ったら翔、心配しちゃうでしょ?


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