今夜キミの温もりと。
本当は、まだ怖かった。

帰ったら、怒られるんじゃないか。

翔のお母さんは怒ってるんじゃないか。

私は、ぎこちない笑顔でこう言った。


『おやすみ!』


そしたら、翔が駆け寄ってきて、耳元に口を近づけて来た。



『かえったら、なかないでね』



そして、こう言った。

私は、びっくりして翔を見た。

でも、その時にはもう歩き出していて、翔の姿はどんどん離れていった。


なんでわかったんだろう。

誰にもバレないところで、人の心配にならないところで、一人孤独なところで…、泣けばいいと思っていた。


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