今夜キミの温もりと。
「百合…、…少しずつ頑張って」


最後にお母さんの声が聞こえたけど、その時はもうお母さんの顔は見えなかった。


…頑張ってるよ。お母さん。


私、頑張ってるよ。





疲れた私は、部屋に入ってベットの上に飛び込んだ。


サマースクールまで、後二週間もあるんだ。

お母さん、申し込んでくれたかな。

楽しみだなぁ…。


…今日はいいことが多すぎるからこれは、夢なのかもしれないって、思う。


もしかしたら、本当に夢かもしれない。


夢なら、正夢になって欲しい。

永遠に覚めないで欲しい。


この状況が現実だったら、すごく嬉しいけれど、夢なら素直に言えることもあるんじゃないかな。

…素直になれたら、どんなに幸せかな。

正直になれたら、どんなに楽しいかな。

自分に嘘をつかなければ、どんなに苦しくないかな。


もし、夢の中の私が素直ならお母さんに向かって言いたいことがある。




……ねえ、お母さん。








「ありがとう…」








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