心に刻まれし、君への想い
第1章
始業式を終えたばかりの2年A組の教室はいつも以上に賑やかだ。春休みの間、会えなかった友達との会話が弾むのだろう。
教室の廊下側で大人しく自席に座っている私は少し浮いている。
もちろん話し掛けてくれた子には丁寧に自己紹介をしたし、顔見知りの子には手も振った。
だけどあっという間にグループが形成されて、その輪の中に入り漏れた私の居場所が見つからない。
1時間ちょっと前にクラス替えのメンバーが発表され、退屈な話を聞くだけの始業式を終えたばかりなのにもう仲良しグループができていた。
みんな早過ぎるよ…。
溜息をつくと同時に、隣りから椅子を引く音がした。
くっきり二重の大きな目の男の子がこちらを見ている。
「大丈夫?」
突然の問いかけに「なにが?」と聞き返そうとして、ハッとする。
まさか、ひとりで座っているから可哀想だと思われた?
心配されてる??
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