心に刻まれし、君への想い

礼司も一緒に参加するのであれば、高野くんだけに教えてもらったことにならないよね?あのドーナツショップでの一件がまだ引っかかっている。

「個人練習してもらえるなら、すごく嬉しい。だけど、ひとつ聞いてもいい?」

「うん」

自席に腰を下ろして椅子ごと隣りの席に向け、高野くんと目線を合わせる。


「高野くんと礼司の間になにがあったかは聞かないけど、仲直りはした?」

「仲直り?」

「うん。2人が気まずいままだったら、嫌だなって思ったの」


もしまだ関係が(こじ)れたままなのであれば、なにかきっかけを作ってあげたい。偉そうに聞こえるかもしれないけど、友達として仲直りの協力をしたいんだ。


「悪いのは全部、俺なんだ。礼司はダメな俺を(しか)ってくれただけ…全部、俺のせいなんだ」

「……」


高野くんは珍しく私から視線を逸らした。

聞きたい。2人の間に、なにがあったのか。
< 100 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop