心に刻まれし、君への想い
朝の会になっても多絵は現れず、1時間目の理科の間にこっそり携帯を見れば、咳が止まらないため休むと連絡が来ていた。
「お大事に」と、涙の絵文字と一緒に送る。
早く治るといいな。
一緒にお昼も食べれないし、寂しい…。
携帯をしまって黒板に向き直れば、自然と視界に礼司の頭が入る。教科書を読んでいるようにも見えるが、やや俯き加減だ。
え?まだ授業始まって5分も経ってないけど?まささもう寝てるなんでことはないよね?
盛大に跳ねた髪の毛を引っ張って起こしてあげたいが、残念ながらこの距離では無理だ。
先生やお母さんにたっぷり怒られたらしく、遅刻はしなくなったけれど居眠りは相変わらずだった。
この間もドーナツショップで宿題をやっていたら、知らぬ間に寝てたし。
授業が終わったら速攻で説教してやろう。
先生が背を向けて板書を始めた時、平田くんが礼司の肩を叩いてくれた。ビクッと反応した礼司は頭を上げた。
やっぱり寝てたのか…。