心に刻まれし、君への想い
そして平田くんは理科の授業が終わると、礼司の元に駆け寄ろうとした私より先に席を立った。
「みんな!ちょっといい!」
教卓の前に立ち、声を上げる。よく通る声が響き、教室は静かになった。
平田くんは何事にも積極的で、スポーツ大会の実行委員に立候補してくれた。みんながやりたくないことを察してすぐに手を上げてくれたのだ。高野くんと同じように彼もまたクラスの中心的な存在だ。
「今日の放課後、リレーの練習をしようと思います!強制じゃないけど、来れる人は来て!」
平田くんは大柄で体格の良さを活かし、野球部に所属しているスポーツ男子だ。部活の規律で坊主にしているため、モテないとよく大声で嘆いている。
「行くー!」
「ごめん、部活だわー!」
「オッケー!出れる奴だけ、来て!」
見ている感じは参加と不参加が半々くらいかな。
礼司は机に突っ伏して、クラスで唯一、話を聞いていなそうだ…。