心に刻まれし、君への想い
やっぱり高野くんはすごいな。誰も置いていかず、クラスをまとめてしまうんだ。
もし隣りの席でなくて話す機会がなかったら、完璧な彼を遠い存在として認識していただろうな。席が近くて本当にラッキーだ。
授業中に高野くんの整った横顔を近くで見られるし、おはようの挨拶だってできるんだ。
放課後の個別練習は憂鬱なはなずなのに今は少し楽しみだ。だって高野くんに教えてもらえるんだよ?
あ…。
浮かれた気持ちがすっと萎む。
礼司は嫌じゃないかな?
ーー俺に、しとけば?
そう言った礼司の低い声がまだ耳の奥に残っている。
クラスで練習しようとしているのに個別で練習しようとは大きな声で言えず、お昼休みに礼司へメールを送っておいた。放課後までには見てくれるだろう。
来てくれるよね?