心に刻まれし、君への想い

「雪菜は大丈夫?最近、辛いことはない?」

顔を上げて私の方を見た。

少し疲れた顔をしている。

どんな時でも他者を気遣(きづか)うことを忘れない高野くんはカッコいいし、それは彼の強さでもあると思う。


「私は大丈夫だよ。勉強もリレーも高野くんが助けてくれてるから!」

「そう?なんでも相談して。絶対、力になるから」

「私だって!高野くんの力になりたいよ!」


ちっぽけな私に大それたことはできないと理解しているものの、声を大にして言った。


「高野くんの気持ち、少しも理解できてないかもしれないけれど、なんでも話して。ほら、誰かに話して楽になることもあるでしょ?」


ひとりで考え込んで爆発しそうな時、礼司やお母さんに話を聞いてもらって、気が楽になった。言葉に出すって重要なことなのかも。


「ありがとう」

「ううん」

高野くんが手に力を込めてきたので、そっと握り返す。


「雪菜、(そば)にいて」

「うん、(そば)にいるよ」

高野くんは穏やかな表情で微笑(ほほえ)んでくれた。
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