心に刻まれし、君への想い
礼司は礼司なりに私を思って行動してくれたんだ。後でちゃんとお礼を言わないとね。
でも!私が伝え方を間違えただけで、礼司も一緒に練習に付き合って欲しかったよ!
「まず、バトンの受け渡しの練習でもする?」
「バトン、落としちゃったらヤバいもんね…って、持ってきてくれたの?」
青いバトンがリュックから出てきた。
「陸上部の先輩に頼んで、部室から借りて来たよ」
「ありがとう!」
「それじゃぁ、まずはバトンの受け取り方から…そこに立ってみて」
さっきまでの雰囲気が嘘のように、高野くんはテキパキと動き出した。
「身体の向きはもっと、右かな」
「あ、うん」
肩に高野くんの手が添えられて、右方向に体勢を変えられる。
正しいポーズを教えてもらっているだけなのに、全身に緊張が走った。