心に刻まれし、君への想い

礼司は礼司なりに私を思って行動してくれたんだ。後でちゃんとお礼を言わないとね。

でも!私が伝え方を間違えただけで、礼司も一緒に練習に付き合って欲しかったよ!

「まず、バトンの受け渡しの練習でもする?」

「バトン、落としちゃったらヤバいもんね…って、持ってきてくれたの?」

青いバトンがリュックから出てきた。


「陸上部の先輩に頼んで、部室から借りて来たよ」

「ありがとう!」

「それじゃぁ、まずはバトンの受け取り方から…そこに立ってみて」

さっきまでの雰囲気が嘘のように、高野くんはテキパキと動き出した。


「身体の向きはもっと、右かな」

「あ、うん」

肩に高野くんの手が()えられて、右方向に体勢を変えられる。

正しいポーズを教えてもらっているだけなのに、全身に緊張が走った。
< 114 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop