心に刻まれし、君への想い
たまに肩に腕を回されて礼司と歩くことはあるが、こんな風に緊張したりしないのに。
高野くんに触れられると、心がギュッと痛くなる。
「じゃぁ、行くよ」
「お願いします」
集中、集中。
せっかく教えてもらってるのに、他のことを考えていたら意味ないよね。
リレーの受け渡しの特訓を何度もしてもらう。
正直、高野くんの前で全力で走るのは恥ずかしいから、バトンの練習から始まってちょっと安心した。だって絶対、私の走り方はおかしいもん。礼司にもよく笑われるし。
「後ろを振り返らないでバトンを受け取ることが理想だけど、無理して前だけを見る必要はないからね」
「難しいね」
「そうだね。休憩する?」
「ううん、まだ頑張れる」
「オッケー。じゃぁ次は助走をつけてやってみようか」
勉強会の時のように、高野くんは細かく丁寧に教えてくれた。