心に刻まれし、君への想い
バトンの次は、速く走るためのフォームも教えてくれた。
自動販売機でジュースを買って休憩する。高野くんは今日も迷わずみかんジュースを買ってくれた。
お金を返そうとしたけれど、頑なに受け取ってくれない。
「なんか、少しだけ上手く走れるような気がしてきたよ。ありがとう」
並んでブランコに乗りながら、喉を潤す。
「雪菜は走り方が綺麗だと思うよ。足も全然遅くないし」
「いやいや、今日はちゃんと走ってないからバレてないかもしれないけど、体育の授業での私はヤバいよ…」
「そんなことなかったよ」
ん?まるで見ていたかのような言い方。
「最近、男子は室内で卓球だけど、窓から校庭を見てたんだ」
「えー、たまたま私が走ってるところだったの?恥ずかしいし、見て欲しくなかったな」
タイミング悪いよ…目撃者は少ない方がいいのに。
「いや、ちらちら窓の外を見てて、雪菜の番が来たら休憩しているフリしてた」
わざわざ見なくても…。意地悪だ。