心に刻まれし、君への想い
放課後、担任の長谷川先生からたっぷり怒られた礼司と下駄箱で靴を履き替える。
今日は始業式とその後、各クラスで簡単な自己紹介を済ませて終わりになった。
みんなが所属している部活や趣味、応援している芸能人を紹介する中で、私は名前を言って軽く頭を下げることしかできなかった。
自己紹介があると分かっていたのに、残念ながら中1から何も変わってない。
私も陽太くんや礼司のようにハキハキと話せたらいいのに。少しも成長していない自分が嫌になる。
「腹減った。なんか食って帰ろうぜ」
「奢ってくれるの?」
「はあ?」
「だって春休みの宿題、写させてあげたじゃん」
「おまっ…!大きい声で言うなよ、やっと説教が終わったんだから」
周囲を見渡して、礼司は私のリュックを引っ張る。
「早く行くぞ!」