心に刻まれし、君への想い
高野くんに同じ気持ちだと伝えたいけれど、それは礼司への裏切りのような気がして言葉にできなかった。
2人があまり良い関係とは言えない中で、中立的な立場の私が高野くんを好きになっても良いのだろうか。
今日だって礼司が高野くんに声をかけてくれたから練習できたんだ。
礼司のことはなにがあっても傷つけたくない。
私が幸せでも、礼司が同じでなかったら意味が無いんだ。
「……」
「……」
2人の顔から笑顔が消え、沈黙が訪れる。
私がなにかを伝えなければいけないのに、今、彼へ紡ぐ言葉が思いつかない。
日が暮れて辺りが暗くなって来たせいか、高野くんの顔が少し寂しそうに見えた。