心に刻まれし、君への想い

今すぐにでも礼司の家に駆け込んで話を聞いてもらいたかったが、そうするわけにもいかずに足は自然と灯里(あかり)神社に向かった。

いつもよりゆっくり石段を上り、お賽銭(さいせん)と一礼をする。

大木の下に休憩用として置かれたベンチに腰掛けて、ふうっと大きく息を吐き出す。


「なに、黄昏(たそがれ)てるんだよ」

「なんで!?」


誰かが石段を駆け上がって来る足音は聞こえていたが、その人物はまさかの礼司だった。


「高野から練習終わった、って連絡が来たから。後、告白?も、したって聞いた」

そっか、聞いたんだ…。

気まずい…。


「雪菜は考え事や悩みがあると、必ず灯里神社に来るからな」

「礼司はお見通しだね」

付き合い長いだけあるよね。私も礼司が悩んでいる時は、駅前のバッティングセンターに行くことを知ってるよ。
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