心に刻まれし、君への想い
いつも賑やかなクラスなのに、こんな時だけシーンと静まり返っている。誰も長谷川先生と目を合わせようとしない。
「立候補はいないか?」
早く自分以外の誰かに決まって、やりすごしたいと思っている空気がひしひしと伝わってくる。
だって、私も同じ気持ちだから。
実行委員はスポーツ大会本番はみんなの前で開会の挨拶をしたり、試合の実況をしたり、とにかく大忙しだ。おまけにクラス練習の時はみんなを引っ張る重要な役回り。
そんな大それた役目を自分が果たせるはずもないし、リレーは苦手だし、とにかくこの嫌な時間が過ぎることを待つしかない。
「おい、誰かやれよ!」
沈黙に耐えきれなくなったのか、礼司が声を張り上げる。
「俺もサポートするよ」
そう高野くんも続いた。
クラスの女子はその言葉に少し反応したが、結局、誰も名乗り出なかった。
ーー雪菜はもっと自分に自信を持って。
昨日の高野くんの言葉が浮かんできた。