心に刻まれし、君への想い

しばらくの間、放課後は実行委員の仕事と、クラス練習の掛け持ちで走り回っていた。

実行委員のメンバーはみんな体育会系だったけれど、すんなりと私を受け入れてくれた。分からないことはすぐに教えてくれた。

新しい人たちとの出会い。
ここ数日、これまで話したことのない多くの同級生や先輩たちと関わり、少しずつだけれど慣れて来た。

徐々に言葉にも詰まらなくなってきた。


放課後の練習はじわじわと参加者が増えて、部活を早めに切り上げて参加してくれる生徒も増えた。

「赤木、走るのが苦手とか言ってたけど、普通に遅くないよ?スタートダッシュが少し遅いから、繰り返し練習すればもっと速くなるんじゃない?」

よく話すようになった松戸くんからそう言ってもらえた。

「スタートダッシュ?」

「んー、俺は教えるの苦手だから!おい高野、おまえが教えてやってよ」

「もちろん」

リレーの練習を通して、高野くんとも元のように違和感なく話せるようになった。それが一番、嬉しかった。
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