心に刻まれし、君への想い
第5章
ーースポーツ大会当日。
準備や練習に無我夢中になっていたら、あっという間に当日になってしまった。
いつもは肩までの髪を下ろしているが、今日は気合いを入れようとシュシュで軽く結ぶ。
どこで買ったかは忘れてしまったけれど、淡いピンクでリボンのチャームがついた可愛らしいシュシュだ。
同じことを思ったのか多絵も買ったばかりのハートの刺繍が入ったシュシュをつけて、髪をひとつに束ねていた。
「頑張ろうね」
「多絵、今日まで色々ありがとう!」
「雪菜こそ今日までよく頑張ってね!成功させようね!」
「うん!」
多絵とハイタッチをして、実行委員の仕事に向かう。
私は進行のアナウンスを任された。
ゆっくりと深呼吸をして校庭中央の放送席に座る。
放送開始のスイッチを押して、第一声を発した。
「みなさま、これよりスポーツ大会を開始致します。整列してお待ちください」
言い終わると、近くにいた礼司がピースサインを繰り出してくれた。
近くで見守ってくれてるんだ。