心に刻まれし、君への想い

リレーは1チーム5人で走ることになっている。クラスを6チームに分けて、他クラスや他学年の生徒と競う。より多く1位をとったクラスが優勝になる。

私は一番最後の回で走ることになっている。出番が遅いため、委員会の仕事をこなしつつ終盤(しゅうばん)までずっと緊張していた。

頻繁(ひんぱん)に放送席へ礼司が雑談をしに来てくれて、少しだけ気が緩んだけど。


「雪菜、行くよ!」

ーーいよいよ、だ。

多絵が放送席まで迎えに来てくれて、2人で手を繋いでリレーの待機列に向かう。

既に心臓がドキドキと波打っている。


「雪菜のこと、全力で応援するからね」

「多絵もトップバッター、頑張ってね」

私たちのチームは多絵がトップバッターで、高野くんがアンカーだ。他2名は体育会系の部活に入っていて、体力には自信がありそうだった。つまり、私が…足を引っ張らなければ、1位も狙えるチームだ。

大丈夫。私だってたくさん練習したし、高野くんにフォームを見てもらったし、朝のランニングも今日まで続けてきた。


ーー雪菜はもっと自分に自信を持って。

高野くんの言葉を噛み締める。

走れる、走れる、私だって頑張れるんだ!
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