心に刻まれし、君への想い
礼司とは幼稚園の頃からの付き合いだ。
初めて交わした言葉やどんな風に仲良くなったのかとか、残念ながらなにも覚えていないんだよね。気づいたらいつも隣りに居た。
私たちの家から徒歩で通える中学は3つ程あったが、「礼司が青星中学に行こうぜ」と、まるで近所のファミレスへ誘っているかのようなノリで言うから、深く考えもせず私は頷いていた。
「ねぇ、高校はもう決めてる?」
「なにも」
両手を後頭部に当てて、本当に何も考えていない顔で口笛を吹いている。
「さっき進路調査のプリントもらったじゃん。なに書くのかなって。夏休みまでに出せってさー」
「雪菜は?」
ドーナツショップを目指して人通りの多い商店街を進む。
「高校には行きたいけど、志望校までは絞れてないんだよね」
また礼司が、◯◯高校に行こうって誘ってくれたのなら、そこを目指して頑張るんだけどな。