心に刻まれし、君への想い
翌日、陽太と一緒に灯里神社に訪れた。
おばあちゃんと神様へのお礼を何度も伝える。
急に勉強にやる気を出して塾に通い始めた礼司から預かって来たお賽銭も投げておく。
残念ながらおばあちゃんの声は聞こえなかったし、キツネの姿は見当たらなかった。
でもきっと届いてるよね。
「さ、俺たちも勉強会しようか」
「そうだね」
陽太は私の手をとり、石段をゆっくりと下りてくれる。
「それにしても驚いたよ、礼司が誰よりも早く来て、職員室に分からないところを質問しに行ってるんだから」
「陽太より早いって、凄いよね」
「うん」
礼司は憑き物が落ちたかのように、すっきりとした表情で誰よりも早く登校し、授業中は必死に板書をしていた。積極的に発言までしていた彼は昨日までとは別人のようで、どの先生も驚いていた。
「礼司がやる気出したら、私も負けてられないよ。3人で同じ高校、絶対に行こうね」
「もちろん」
ギュッと、陽太が手を握ってくれた。