心に刻まれし、君への想い
嫌がってはいるけれど、礼司のことだからお母さんの言いつけ通りに買い物に行くのだろう。
忙しい両親に変わって日頃から家事を手伝っているしね。たまに遅刻はするし、授業中に居眠りもするけれど、親孝行のいい奴なんだ。
「買い物ね、私も一緒に…あ、」
「なに?予定あるの?」
「うん、放課後は図書室に」
「図書室?なんか借りるのか?」
姿勢を直した礼司は首を傾げる。
そうだよね、私たちは図書室にはほとんど行かないからね。
「高野くんが勉強を教えてくれるって。礼司も来ない?その後、私も買い物に付き合うからさ」
礼司の視線が高野くんに向く。
そういえば昨日、ドーナツを食べながら高野くんの話をした時、あんまり良い反応じゃなかったな。