心に刻まれし、君への想い
誰もいない図書室に入り、どの席にしようか迷いながら一周してみる。
高野くん、いつもどこに座っているのだろう?
やっぱり一緒に来れば良かったかな?
いやいや、話してるのに邪魔はできないよ。
席が決まらず、今度は本棚を周回して、本を選ぶフリをしながら高野くんを待つ。
文庫本の裏表紙にあるあらすじを読んでみるが全然頭に入ってこない。
待ち合わせって落ち着かないな…。
だから礼司に一緒に来て欲しかったのに!3つも私の奢りでドーナツを食べたくせに肝心な時にいないなんて酷すぎる。
そうやって、私はいつも礼司を頼って来たんだ。
礼司がいないと、ひとりでは何もできない。実はドーナツ3つでは返せないほどの恩を感じている。