心に刻まれし、君への想い
「勉強はまたにして、帰ろうか」
「うん…」
壁際の時計は18時半の最終下校を指していた。
「私から教えて欲しいって言ったのに、ごめんね?」
「いや、遅れたこっちが悪いよ。ごめん」
机の上にはなにもなく、本当に私の間抜けな寝顔を見ていただけのようだ。
「高野くんは悪くないよ!最近、寝不足で…」
「眠れてないの?」
「よく分からない夢を見て、すっきりしないんだ」
「そっか…」
誰かと話している夢だけれど、相手の声は雨音でよく聞こえない。
「今夜はゆっくり眠れるといいね」
「ありがとう」
やっぱり高野くんは優しいね。