心に刻まれし、君への想い
神社の本殿と鳥居の間には石段があり、その段数は30段近くあると思う。
春休みの前日、雨でぬかるんでいたせいか私は足を踏み外して石段から転がり落ちた。気付いた時には救急車のベッドで横になっていた。
酸素マスクをつけられて全身が痛かったけれど幸い、右足の捻挫だけで済んだ。
無数のアザができていたけれど、命に関わるような怪我はしなかった。
お医者さんも驚いていたけれど、きっとおばあちゃんが助けてくれたのだ。
そう呟いた私の言葉に、両親よりも先に病院に駆けつけてくれた礼司が頷いてくれた。
せっかくの春休みだというのに、病院のベッドで過ごすことになってしまったことは最悪だった。
礼司がお見舞いに来てくれたから、退屈はしなかったけど…。
もう二度と間抜けなことはしないと、一段一段ゆっくりと石段を下りた。