心に刻まれし、君への想い
私、赤木(あかぎ) 雪菜(ゆきな)は人見知りで人前に立つことがとても苦手だ。

この後、先生が来たらクラス全員に自己紹介をさせないか心配しているくらいに注目されることが嫌いで、友達も少ない。

まぁ私といても、つまんないし。

そうやって中学の1年間を過ごしてきた。小学校の頃はまだ自分のことをよく分かってなかったし、今よりは周囲と打ち解けていたと思う。

中学2年生に進学したからといって自分が変わらない限り、退屈な学校生活になると分かっているのに尻込みしてしまう。


高野くんは学校が楽しいだろうし、きっと好きだよね。

親友と盛り上がる彼を横目に、羨ましいと思う。


私だってこんな内気な性格でなかったらーー
いや、私は私だ。

無理に笑顔を張り付けて友達を作らなくてもいいんだ。
そう、あいつが言ってくれた。


大きな音を立てて前方の扉が開いた。

「よしゃっ、間に合った！」

クラス全員が振り向くくらい盛大な足音を立て、男子生徒が教室に入ってきた。

「危なかった〜セーフ！」

騒がしい奴…。
制服を着崩してネクタイを腕に巻き付けている彼こそ、私がちょうど想像していた"あいつ"だ。
< 5 / 166 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop