心に刻まれし、君への想い

「そっか!私にもそういう男友達いるよ!」

冷やかされることなく大村さ…多絵(たえ)は納得してくれた。彼女の肯定に心が落ち着く。

少しつり気味の目元は強気な印象を与えるが、ただ目力が強いだけで、くるくると変わる表情は明るくて話しやすい。


「雪菜は他に仲いい子はいる?」

「私?あんまり…」

直球だ。この質問には上手く反応できなかった。


「そうなんだ!私も仲が良い子とクラス離れちゃって、わざわざ隣りのクラスまでお昼食べに行ってたんだ!良かったら、一緒にお昼食べない?」

「うん!」

まさかお昼を一緒に食べられるクラスメートがこんなに早くできるとは思わなかった。朝から灯里(あかり)神社にお参りに行って良かったな。


「いつもどこで食べてるの?」

「屋上前の階段で…」

「え?屋上?鍵閉まってて入れなくない?」

「中には入れないんだけど、窓からの日当たりがよくて1年生の頃から階段で食べてるんだ。誰も来ないし」

たまに礼司が昼寝しに来るくらいだ。
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