心に刻まれし、君への想い

まだ話したかったけれど先生が現れ、朝の会が始まってしまった。


「私も階段、行って良い?」

先生が出欠席を確認している間、こそっと多絵が聞いてきた。

振り返って大きく頷く。

普通に嬉しい…。


「礼司、ちゃんと来てるな」

「先生、俺をなめないでくださいっ」


偉そうに反論する礼司にクラスからヤジが飛ぶ。


「入学式に遅刻してる奴がなに言ってるんだよ!」

「今日も滑り込んだって言ってたじゃん!」


私だったらメンタルが崩壊するけど、礼司は「うるせぇ」と一蹴(いっしゅう)してしまう。その強さが時に羨ましい。

私も強くならないと。いつまでも傷つくことから逃げていたら、誰とも、多絵とも仲良くなれないよね。
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