心に刻まれし、君への想い

「礼司、ちゃんと寝てる?」

思えば、中1の時はそこまで眠そうにしていなかった。遅刻も数ヶ月に1回ある程度だった。いつも寝癖はあったけど…。

新学期が始まった後から、眠たそうだ。


「寝てるよ」

「本当?」

私もきちんと眠れていないけれど、もしかして礼司も同じなのでは?

私の場合は新しいクラスに馴染めていないこともあって不安で寝つきが悪いのだろうけど、礼司はなにか心配事があるのだろうか。


「大丈夫だって」

「いつでも相談してね」

「何もないって」


再び机に伏した礼司の後髪をそっと撫でる。頑固なクセは手ぐしではやっぱり直らなかった。
< 56 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop