心に刻まれし、君への想い

待ち遠しいはずのお昼休みが近付いて来ると、急に胃が痛み出した。原因は考えなくても分かる。

多絵とお昼を一緒に食べる。

みんなにとっては当たり前のその行為が私にとってはハードルが高いものなのだと思い知る。

心の不安が胃にまで伝わってしまった。

よく考えたらお昼休みの1時間、どんな会話をしたらいいのだろう。会話についていけず空気を悪くしてしまったら…。

どうしよう、礼司に相談する時間もないし…。


いっそ今日は早退して、準備を整えてから明日に再挑戦するのはどう?

そんな卑怯な案まで想像してしまう。

昨日、高野くんとは上手くやれた。

でもそれは高野くんが優しい人で、たくさん気遣いをしてもらったから成立しただけだ。

早退すれば、放課後の勉強会にも出れなくなる。それが逃げ出さずに、教室に留まれた一番の理由だった。
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