心に刻まれし、君への想い

毎年5月に開催されるスポーツ大会は、全校生徒の参加が強制となっていて親睦(しんぼく)を深める目的で開催される。

秋の体育祭よりは小規模で、1つの種目に絞り、クラス(ごと)に競うものだ。優勝したクラスには商店街の5000円分の商品券がもらえるため、割とみんな本気で練習する。


「去年はバスケだったよね」

「結局、3年生が優勝したよね〜」

「圧倒的だったよね」


運動も好きでないし、集団行動が苦手な私にとってスポーツ大会は憂鬱な行事でしかない。


「高野くんが得点王だったよね!」

「そうそう、凄かったよ」


最も得点を入れた生徒に送られる得点王に選ばれていた高野くんの活躍はよく覚えている。

ボールが吸い込まれていくかのような華麗なゴールの連発だ。

真剣だけど、熱すぎないところがカッコよくて、遠目から応援していた。

フェアプレーで、ミスした生徒にはフォローを入れて、高野くんは細かく周囲に目を配らせていた。

いいなっ、って思った。

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