心に刻まれし、君への想い

注目を浴びていることを気にも止めず、大きなあくびをした彼と目が合う。

「あ、おはよ」

「始業式に来なかったのだから、セーフなわけないじゃん」

寝癖がトレードマークの山本(やまもと) 礼司(れいじ)は、私が唯一と言っていいほど気兼ねなく接することができる友達であり、幼馴染だ。

「セーフだろ?それよりまた雪菜と同じクラスで良かった!ノート、写せる!」

「絶対に貸さないから!!」

「ケチ!」

そう否定はしても、授業中に居眠りや遅刻をした礼司にノートを貸してしまうのだろう。

だって息苦しかった教室に礼司が現れただけで、私は笑えるから。

空気がすっと軽くなる。

幼馴染という存在は最強だ。


「俺の席どこ〜?」

「真ん中の一番前」

「はあ?絶対に無理!」


名簿順で席を指定されている中、授業中に居眠りをすることを察して先生が礼司を一番前にしたことは明白で、笑ってしまった。
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