心に刻まれし、君への想い
唐揚げを一口かじる。
美味しいと感じられたことに、ホッとする。
もう大丈夫。
「雪菜は彼氏いるの?」
「ゴボッ、」
「大丈夫!?」
急な質問にチキンライスを吹き出しそうになり、慌てて口を押さえた衝撃で咳き込んでしまう。
「いないよ!」
「怪しいぞ〜」
この手の話題が苦手で強く否定したことが裏目に出たらしい。
少しつり気味の大きな目で探るように見てきた。
「礼司は違うって言ってたけど、彼氏はいないんだ?」
「本当にいないよ!多絵はどうなの?」
いるわけないよ、私になんて。
「残念ながらいない。そっかー雪菜もいないんだ」
「うん」
「まぁまだ中学だしねー焦ることないよね」
「そうだね」
焦ってはいないけど、期待もしていない。この先もずっと私のことを好きになってくれる異性は現れない気がしているけど、多絵には言えなかった。