心に刻まれし、君への想い
並んで図書室に向かう。
礼司の居眠りを笑ってしまったけどよく考えたら私も昨日、図書室で眠ってしまったんだ…。
「飲み物を買っていい?」
「うん、どうぞ」
食堂前にある紙パック専用の自動販売機にお金を入れた高野くんは迷わず、みかんジュースのボタンを押した。可愛らしいみかんのイラストが描かれたどこにでもあるジュースだけど、甘酸っぱくて私も好きだ。
飲みたくなってきたな。
「はい」
バッグからお財布を取り出そうとしたところで、みかんジュースを渡された。
「え?いいの?」
手のひらがひんやりとする。
「どうぞ」
そう言って今度はコーヒー牛乳のボタンを押した。
「みかんじゃなくていいの?」
「俺はコーヒー牛乳が好きだから」
「そっか…ありがとう」
高野くんはコーヒー牛乳が好きなんだ。今度は私がお返ししないとな。