心に刻まれし、君への想い
ジュースを飲みながら廊下を進むと、すれ違う女子が何人も高野くんに手を振ってきた。高野くんは手を挙げて応えているが、彼女たちは私を見て顔をひそめる。
絶対に陰口を叩かれるよ…。
痛いくらい視線を感じ、図書室に着くまで居心地が悪かった。
扉を開けると図書委員の姿はなく、数人の生徒が本を読んでいた。高野くんは昨日と同じ席に荷物を置く。
僅かに開いた窓から風を感じ、ランニング中の陸上部の掛け声が聞こえる。
何故だろう。
窓の外を見る高野くんの横顔は無表情で、その視線は冷ややかだ。
高野くん?
声をかけるべきか迷ったが、私は見なかったことにした。
静かに椅子に座る。
校庭に嫌いな人がいたのかな?陸上部の誰か?
そりゃぁ高野くんだって、嫌いな人はいるよね。