心に刻まれし、君への想い
見慣れない単語の使い方を教えてもらっていると、乱暴に図書室の扉が開いた。本を読んでいた生徒も音に反応して顔を上げる。
静かに入って来なさいよ。
「礼司」
大股で図書室に入って来た礼司に手を振る。
「来てくれてたんだ」
「気が向いたから」
礼司は高野くんをちらりと見ると、私の隣りに座った。挨拶くらいしてもいいのに…。
2人と友達の間になにがあったかは聞いてはいないけれど、自然と仲直りってこともあるし、大丈夫だよね。
「今、英語を教えてもらってたんだ」
「ふぅん」
勉強会だというのに手ぶらで現れた礼司が私のノートを覗き込むと、横髪の右に跳ねた寝癖が私の視線に入る。
「高野くん、教え方が上手なんだよ」
「へぇ」
6人掛けの机の上に置いたみかんジュースを勝手に飲んだ礼司はやる気なさそうな返事をした。
それ、私が買ってもらったジュースなんだけど…。