心に刻まれし、君への想い
本屋なら私も付き合ったのに。
高野くんは振り返りもせず角を曲がってしまった。
「どうした?」
「…高野くん、なにか言いかけててさ。なにを言おうとしてたのだろう?」
「俺が邪魔したか?」
「ううん」
「また、言いたくなったら言うだろ」
「そうだね」
高野くんとは反対の道を進む。昨日は一緒にコロッケを食べに行ってくれたのに。
「礼司、高野くんはいい人だね」
「そうか?俺は、嫌いだ」
礼司は拗ねた子供のように言った。
「どこが?」
「全部」
「理由になってないよ」
私には話したくないのかな。
それ以上、突っ込んでは聞けなかった。