心に刻まれし、君への想い
次に目を開けた時、礼司は階段の手前で私を待っていた。
「礼司はなにをお願いしたの?」
「別に」
ちぇっ、教えてくれないのか。
気になるんだけどな。
「叶うといいね」
「おまえもな」
「うん」
石段を下りる時は礼司が前になってくれた。
この石段からうっかり落ちて、どれだけ礼司に心配をかけていたのか身に染みた。まだ涼しい3月だというのに汗だくで病院に駆けつけてくれて、なんたかんだ言い訳をつけて毎日、お見舞いにも来てくれたんだ。
「礼司、ありがとね」
「なんだ急に」
後ろ向きなので表情は見えないけど、絶対に照れてるよね。