心に刻まれし、君への想い
多絵の言葉に頷く。
人気者の高野くんと図書室で勉強したり、一緒に帰ったりしているところを複数の女子に見られてはいたけれど、誰からもなにも言われなかった。
本音を言えば、高野くんに近付くな、そんな警告があるかと怯えていたが一切なく平穏な学校生活を送っている。
「まぁ私たちが心配しても仕方ないことだけど、昼休みにサッカーしたりしてるし、日常生活には支障がないんじゃないかな?きっと、リレーにも出てくれるよ」
「そうだね」
多絵の言う通り今更、私たちが心配してもどうにもならないんだ。気になるけれど、私の興味は高野くんを傷つけることになるだろう。本人の前で足の怪我のことには触れないでおこう、絶対に。
「高野くんって、他になにかある?」
「なにかって?」
「平田くんと仲が良くて、頭がいいってことくらいしか私、知らないから…」
他にも高野くんのことで見落としていることがあれば、知りたいと思った。