心に刻まれし、君への想い
昼休み終了を告げるチャイムが鳴り、慌てて階段を駆け下りる。夢中で話し込んでしまい、あっという間の昼休みだった。
これまでひとりぼっちの昼休みは長くて、早く帰りたいと呟いていたのに。
綺麗に巻かれた髪を揺らしながらテンポ良く進む多絵のおかげで、今から明日の昼休みが待ち遠しく思う。
2年A組ではなかったら、多絵や高野くんと親しくなることもなく、おしゃべりする相手は礼司だけだったのだろう。想像するだけで寂しくなる。寂しすぎるよ。
運動神経の良い多絵は私が遅れていることに気付くと、振り返って立ち止まってくれた。
「私、声かけてみる!」
自分から行動するって決めた。
同じクラスになれたのは縁や運のおかげだけど、そこからどう行動するかは私次第だ。
変わりたい。ううん、変わるんだ。
失敗したっていいよね。臆病な自分のままでいるよりはずっと、いい。
多絵はピースサインをして笑ってくれた。