心に刻まれし、君への想い

高野くんに教えてもらったせいか、苦手な英語は少しだけ興味が持てるようになった。すらすらと英文を訳す高野くんがカッコ良かったなぁ。


「一緒の高校に行くんじゃないの?」

早々にドーナツを完食して携帯のゲームを始めようとしている礼司を(にら)む。

「志望校、決めたの?」

「まだ悩んでるところだけど、2人で頑張ろうよ」


返事はなかったけれど、携帯の画面を伏せてペンを持ってくれたことが答えだろう。


「…もしも、私が医学部って言ったら驚く?」

「医者になりたいの?」

「もしもの話」

「医学部でも法学部でも、俺はどこでもいいよ」

「そっか。礼司の要望はないの?」


本当にどの学部でも付いて来てくれそうだけど、礼司に夢はないのだろうか。いつもゆるい会話しかしてこなかったけれど、どんな将来を想像してる?


「特にない。俺はどこでも柔軟に対応できるから、気にするな」

「カメレオンじゃん」

「なんだそりゃ」
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