心に刻まれし、君への想い

「雪菜の鈍臭(どんくさ)さを見て、爆笑されるかもな」

からかい口調で意地悪く微笑んでくれた。

だけど視線は下を向いていて、目は笑っていなかった。礼司は笑う時、眉を下げて目を細める。

長く一緒にいる幼馴染だからこそ感じ取れてしまう。

礼司は気を(つか)って、作り笑いをしてくれたのだ。


「礼司…」

「いいんじゃない。あいつ、教え方は上手いしな」

「……」

「ほら、続きやるぞ。早く宿題を終わらせてゲームがしたいんだよ、俺は」


私は礼司を傷つけてしまったのだろうか。

高野くんを知りたいと思うことが、礼司を傷つけることになるのならーー止めたほうがいい。

大切な親友を傷つけてまでやりたいことは、ひとつもないし、なにより礼司の気持ちが大切だから。
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