心に刻まれし、君への想い
早起き得意なの?
そう迂闊に尋ねようとして慌てて口を閉じる。
私が下駄箱で靴を履き替えた時、ちょうど朝練終わりの陸上部やサッカー部が部室に入っていくところだった。
数ヶ月前まで高野くんがその輪の中にいたとしたら、早起きは習慣となってしまっているのだろう。
「今日から放課後、有志でリレーの練習するってさ」
「え、そうなの?」
「平田が仕切ってやるみたい」
体育の授業は男女分かれてリレーの練習をしているが、まだクラス全体で走ったことはなかった。スポーツ大会まで後1週間。そろそろ男女一緒に練習するかもね、って多絵も予想していたな…。
「高野くんは出る?」
「出るつもりだよ」
私はどうしようかな。
正直、全体練習には行きたくない。いつかは出なくちゃいけないだろうけど、乗り気にはなれないなぁ。もう高野くんや多絵とは緊張せず自然に話せるようになったけれど、大人数で何かをするのはやっぱり苦手のままだ。