ただ、この夜から抜け出したくて。
「ちひろちゃんは今日、何で外に出ようと思ってくれたの?」
「班長さんにこれ以上怒られないように。私のことで頭いっぱいなんですよね?私が外に出たら、少しは篤見さんの頭から私が居なくなるかなって」
「頭いっぱいだけど…優しいね。自分のことで混乱してるのに」
「優しくないです。篤見さんを飛ばしたの、これで2回目なんで」
苦笑いで僕を見るちひろちゃん。
その苦笑いに、胸あたりがチクッとした。
気のせいだと思うけど。