ただ、この夜から抜け出したくて。
外に出る時、お母さんに何も言わずに怯えてるように見えたのは、こういうことだったのか。
これも母子家庭ならではの悩みなのかもしれない。
母親は娘を心配してるけど、声がかけられない。
娘は母親との距離の取り方が分からず、近寄れない。
お互いが遠慮して、思いを知らずに溝ができたまま。
ただ、きっかけがあれば溝は一気に埋まるはず。
「うん、分かった。次出かけた時に話すね」
「お願いします。じゃあまた」
お母さんと話すきっかけか。
きちんと話す機会を設けると、緊張して話せなくなるかもしれないし、僕が間に入るのも違う気がする。
自然に話せるようになるのが良いけど、時間がかかりすぎる。
「…病院か!そうか、病院だ。検査に一緒に行ってもらおう」